対市要望書

2021年11月12日

伊東市長  小野 達也 様 

                                        日本共産党伊東市委員会

                                        日本共産党地域後援会

                     市民生活に関わる要望書

 市長におかれましては、コロナ禍で市内経済も大きな打撃を受け、また気象災害への心配も増大するなか、様々な市政の課題を前に日々市民生活の向上のために努力していただき、まことにありがとうございます。

 また、私たちの要望に対してはいつも丁寧に検討し、回答もいただき深く感謝申し上げます。

さて、本年度も地域のみなさんから寄せられた声をまとめ、以下の点について要望させていただきます。ぜひご回答をいただき、また施策にも生かしていただけるよう、よろしくお願い申し上げます。


1 防災に関して

①熱海土石流を教訓に市の土地利用指導要綱の見直しを

 熱海土石流の原因となった違法な盛り土など、市の指導を守ろうとしない悪質業者に対しての規制の強化が大きな課題になっております。その点から、現在の伊東市の土地利用指導要綱などの改善も必要ではないでしょうか。関連する県条例の見直しの動向も見ながら、ぜひ検討をお願いします。特に令和3年になって5ヘクタール以上の開発行為に関して「住民説明会」が義務づけられましたが、形式的なものに終わらないよう丁寧な報告書の様式を決めるなど、細則の充実を図っていただきたいと思います。


➁地域と連携してハザードマップの学習を

ハザードマップが更新されましたが、住民が関心や理解を深め、また広く意見も取り入れて今後の改善に活かすことも必要と思われます。特別警戒区域の指定範囲や避難所・広域避難所等についても、いっそうの周知や改善を図ることが重要です。そこで、市として各地域での学習会も計画しているとのことですが、その進捗状況はいかがでしょうか。ぜひ自主防災会や消防関係の方も交えた各地域での取り組みをお願いいたします。


③給水活動や避難所設定についての改善を

2019年に要望した事項の中で、㋐給水所へ行くことが困難な方への給水については「地域の民生委員や自治会の協力を得て円滑な給水支援ができないか、検討」、㋑まちなかで避難所としての高層民間施設の活用については「可能性を探ってまいりたい」、㋒別荘分譲地など避難所から遠い住民への民間宿泊施設の低価格解放については業者との「協定締結を検討」との回答がありました。その後の進展状況や生じた課題についてご教示いただきたいと思います。また、これらの問題について区長会や、自主防との協議会などで取り上げていただき共に考えていくことはできないでしょうか。


④ 障がい者の避難について検討を

 障がい者の避難をめぐっては、その避難場所や避難方法について解決すべきさまざまな問題が生じています。各施設や障がい者団体から問題点や要望を聞きとり、行政や町内会・自主防での対策に生かすことが重要であると思われます。

 そうした点で現在どのような取り組みがされているのでしょうか。また不十分な点があれば今後更に取り組みをお願いいたします。


 豪雨の際の道路の冠水の調査と対策を

短時間の急な豪雨など気象状況によって市内の道路の冠水が酷く、交通の安全に問題がでていま

す。ぜひパトロールも含めて実態を把握していただき、できる限りの対策をお願いいたします。


2 教育・子育てに関して

① 学校統廃合に伴い、施設活用などに地域の声の反映を

 一つの小学校区は、地域住民の日常生活圏と重なっている場合も少なくありません。そうした地域の活性化につなげるため、空き校舎・空き教室・旧学校図書室などをどう活用するか。

地域住民の声をよく聞き、その要望を反映するため、これまでどのような手だてが取られてきたか、また今後どのような対応を考えているかをお聞かせください。


② 地域での子どものための諸活動に関わる援助金の拡大を

  少子化や役員不足で地域の子ども会や青少年育成会活動が不可能になり、市全体の組織はなくなりましたが、地域によっては区の支援や、また任意のボランティア団体によって子どもの健全育成のための活動が続けられています。しかし、その活動資金は「魅力あるまちづくり事業」で援助される例が多く、区単位で年間50万円という上限枠では、ほとんど子どものための事業のみで使ってしまっている地域の実態もあります。また「寺子屋」などの学習支援はほとんどボランティアで行われているケースもあります。「魅力あるまちづくり事業」は枠の改善や「放課後子ども教室」の予算の増額など、ぜひ地域独自で行われる子どものための活動に特化した補助金の仕組みづくりを検討していただきたいと思います。


3 高齢者への対応に関して

①これまでの研究の上に加齢性難聴補聴器購入助成の実現を

加齢性難聴補聴器購入助成については、2019年での要望に対して、現行の制度をふまえて「市としてどのような助成が可能か研究してまいります」と前向きに回答していただきました。

 すでに県内では磐田市が2020年度予算に300万円の助成を計上し、長泉町でも上限3万円での助成が行われていると聞きます。こうした状況は十分研究されたとは思いますが、その上に立って伊東市としてもぜひ助成にふみきっていただきたいと思います。

また、研究の一環として市内の各高齢者団体などの声も聞いてほしいと考えますが、要望すればそうした場を設定する考えはあるでしょうか。


②運転免許を持たない独居高齢者へのいっそうの支援を

自動車を運転しない独居高齢者が増えています。買い物、病院、銀行など交通手段のサポートを求めています。

現在も東海バスのバス券や、伊豆急行線の電車代の割引などの対策が行われてはいますが、バス停まで遠いことや、バスに乗車するのも身体的に困難といった高齢者が多く、現状ではタクシーの利用がかなりされています。そこで、タクシーにもバスにも使えるようなチケットの配布など、更なる高齢者への交通支援を考えていただけないでしょうか。


4 医療について

①市民病院管理者と市民・市議会との懇談や協議を

 24時間・365日休むことなく救急医療も行っている市民病院は、伊東市民の健康と命を支える重要な役割を果たしています。しかし、この間産婦人科医が短期間で退職してしまい、出産ができるかどうか不安定な状況が生まれ、また沢山の患者を担当していた医師が不可解な理由で病院を追われ、患者への説明もないなど、市民のための病院なのか疑問視する声があります。更に医療機器は充実しているが専門医が不足しているのではないかという市民の不安も聞かれます。医療の充実は市政だけでは解決しない問題もありますが、やはり、市民との信頼関係が病院経営にも重要であると思います。

そこで、市民病院と市民との懇談会を開くことや、市議会との定期協議を開くなどして市民の声を吸い上げるようにしていただきたいと思います。これについて、市はどのようにお考えですか。


5 業者などへの生業・生活支援と労働者を守る雇用対策について

①市内業者の実態調査と市からの応援給付金支給を要望

コロナ禍・消費税10%で市内の中小業者は未曽有の危機にさらされ、国の月次支援金や県の応援金の対象になっていない業種の業者も度重なる休業要請や移動自粛などによる売上減で深刻な状況に追い込まれています。そうした業者の生の声を聞く実態調査や、また業者団体が要望すれば懇談するような考えはありますか。また、様々な経済支援を実施していただきましたが、あらゆる業者が市内経済の影響を受けていることから、再度、業種を限定しない応援給付金の支給をしていただきたいと思います。


②深刻なコロナ禍の下、差し押さえや滞納処分の猶予を要望

深刻なコロナ禍の下、市民税や国保税など払いたくても払えない市民が増えています。そうした人に対して、差し押さえ優先でなく滞納者の生活状況を十分考慮した対応をしていただきたいです。

 生存権保障のため、生活や営業をひっ迫させるおそれのある滞納処分は機械的に行わないでいただきたいです。


③暮らしと雇用を守る地域活性化対策を

市内経済の落ち込みにより、低賃金・非正規労働で働く特に女性や若者の雇用に悪化の傾向が見られ、生活困窮に陥るケースが増えています。そうした実態をふまえ、伊東市として就労支援や働く場の確保など暮らしと雇用を守る具体的施策を実施してください。

また、賃金の下限規則など労働者保護の理念を盛り込んだ「公契約条例」を制定してください。国に対しては、人口流出に歯止めをかけ、個人消費を活発にするために、最低賃金の大幅引き上げと「全国一律最低賃金制度」の創設を要望してください。


6 交通について

①区や地域が要望すれば循環バスなどの運行検討を

 高齢化が進み、自主的に運転免許を返納されるなどで、移動手段を持てなくなる方が増えるなか、交通空白地域の課題も増大しています。

赤沢地域ではデマンドタクシーの運行が継続していますが、その他現在どのような取り組みが検討されているのでしょうか。具体的な計画があればそれもご教示下さい。また区や関連地域から市内循環バス導入や路線の改善などの要望があれば話を聞いていただき、自動車会社ともその運行について検討などしていただけませんか。あるいは代替措置を考えていただけませんか。

こうした交通政策の推進はかなりの財政負担も必要になると考えますが、高齢者の健康維持や介護予防にもつながり、大きな市民サービスの向上となります。人口の流出を防ぎ、移住促進の観点からも重要であり、公共交通網の改善について更に取り組みの推進をお願いいたします。


7 コロナ禍対策について

①市内のコロナ禍の統計的まとめとその公開を

市内ではコロナ感染者の発生が大きく減少してきましたが、次の流行への警戒心を高めるためにもこれまでの実態把握が必要です。

 そこで例えば次のような項目についてデータをまとめ、例えば広報いとうなどで市民に公開して関心を高め、次への対策に生かせるようにしていただけないでしょうか。

 ㋐市内の年齢別感染者数とその割合・㋑コロナワクチン接種実績統計・㋒市内の感染者数の推移・㋓ここ数年来の市内の各種経済指標の変化(店舗の廃業と倒産件数なども含む)㋔市内で発生した各種クラスターの概要(プライバシーを損ねない範囲で)など


8 その他

①平和都市宣言の児童生徒への周知を

 伊東市議会は昭和63年3月24日に全会一致で平和都市(核兵器)宣言を行い、そのモニュメント建設の方向で話し合いが進んでいると聞いています。

 戦争の惨禍に見舞われ多くの犠牲を払った昭和の時代を、伊東市議会では超党派の平和都市宣言で締めくくったとも言えるのではないでしょうか。

 そこで、これを機に児童生徒へのいっそうの周知を図るため、例えば『私たちの郷土 伊東』の次回改定時に平和都市宣言や記念モニュメントの写真掲載を検討していただく、あるいは広報でモニュメント建設を取り上げていただくなど、さまざまな方策を考えていただけないでしょうか。

 (ちなみに広報いとうでは、1988年5月号で伊東市平和都市宣言の決議を報じています。)


②健康福祉センターにも期日前投票所を

 健康福祉センターには多くの高齢者が来られます。また、かなりバリアフリーになっているため、車いすで訪れる方々もいます。

 ここに期日前投票所を設置していただくと、用事と併せて便利になると鎌田区の高齢者が話していました。(鎌田区には期日前投票所がなく、また鎌田の投票所にエレベーターがない。また、市役所よりもはるかに行きやすい)設置について、ぜひ検討していただけないでしょうか。

 また、郵便投票についていっそうの簡易化を図ってほしいとの要望も出ましたので、併せて伝えさせていただきます。